教員の給料って高いの?安いの?
今回はこんな疑問にお答えします。
・教員の給料について知りたい人
・教員になりたい人
教員の給料についてはよく話題にのぼるところです。
子ども相手の楽な仕事なのにあんなにもらってけしからん!
とか
労働時間で割ると時給500円だった…
とか、様々に言われます。
実際のところ、どのくらいの給料をもらえているのか?
高いのか安いのか?
いろんな角度から見てみたいと思います。
先に結論を書いておきます。
・地方公務員の中では高い方
・ただし残業代は支給されない
・しかも長時間労働を余儀なくされる
「教員の給料について知りたい」「教員を目指している」そんな人は、ぜひ参考にしてみてください!
地方公務員の中では高い…しかし残業代は出ない
まずは教員という職業がどれくらいの給与がもらえるのか?ということを見ていきましょう。
こちらは総務省の「令和2年地方公務員給与実態調査結果等の概要」内の図です。
教職員は地方公務員ですので、おおよそ36万円の給与が月額で支給されています。
ただしこの中には、教員以外の他業種も含まれています。
さらに細かく分けられているのがこちらです。
これを見ると、教育職の給与が、地方公務員の中でも高くなっていることがわかります。
ですので、教員の給料は地方公務員の中では高いと言えます。
やったー!教員バンザイ!
ふふ…そう思うでしょう…?
えっ…違うんですか…?
他の地方公務員には残業代が支給されるんですよ…
え…教員には…?
…支給されません。
そんなあ!
なぜかというと、教員には「残業」という概念がないとされているからです。
これが給特法で決められているのですよ。
勤続年数に合わせて伸びていく
教員は公務員ですので、基本的には給料は勤務した時間によって決定されます。
大まかですが指標となる数値は算出できます。
下の表は22歳で正規採用された場合です。
こちらの表は総務省の「第2 統計表I 一般職関係 (https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/pdf/h29_kyuyo_1_03.pdf)」をもとにして出された、大まかな給料の上がり方です。
僕も今のところ、大体同じです!
基本的には、勤続した年数に応じて増加していきます。
さて、ではどういった仕組みでこれらの給料が決まっているのでしょうか。
給料の決まり方
教員の給料は、いったいどのような仕組みで決まっているのでしょうか。
以前は国立学校の教育公務員の給与を基準としていましたが、国立学校が法人化したことに伴い、各自治体の条例によって定める、と変更されました。
地方公務員特例法 第13条 校長および教員の給与
1 公立の小学校等の校長及び教員の給与は、これらの者の職務と責任の特殊性に基づき条例で定めるものとする。
2 前項に規定する給与のうち地方自治法(昭和22年法律第67号)第204条第2項の規定により支給することができる義務教育等教員特別手当は、これらの者のうち次に掲げるものを対象とするものとし、その内容は、条例で定める。
一 公立の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部に勤務する校長及び教員
二 前号に規定する校長及び教員との権衡上必要があると認められる公立の高等学校、中等教育学校の後期課程、特別支援学校の高等部若しくは幼稚部、幼稚園又は幼保連携型認定こども園に勤務する校長及び教員
例えば「東京都 教員 給与 条例」と検索すると出てきますよ。
実際に検索してみると、次のような表が出てきます。
これが教育職給料表です。
この表を基準にして、「等級」と「号給」をもとに私たちの給料が決められています。
「等級」と「号給」…?初めて聞きました。
普段、あまり意識することもありませんからね。詳しくみていきましょう。
等級とは
教諭なのか、管理職なのか…「立場」によって変化するものです。
例えば東京都ですと、次のように決められています。
現在の僕は「教諭」ですので、二級ということになります。
当然ながら、校長へと近づくにつれて給料は高くなります。
号給とは
それぞれの勤続年数に応じて決められる数値です。
基本的には1年間で4号給、上がっていきます。
前項の規定により職員を昇給させるか否か及び昇給させる場合の昇給の号給数は、同項に規定する期間を良好な成績で勤務した職員の昇給の号給数を四号給とすることを標準として人事委員会の承認を得て教育委員会規則で定める基準に従い決定するものとする。
東京都「学校職員の給与に関する条例」第八条より
気になるのは、「標準として」の文字ですね。
じゃあ5や6上がることもあるってことですか?
その通りです。
東京都人事委員会のHPの図を見てみましょう。
これを見ると、勤務成績に応じて昇給の幅を決定する、とあります。
誰が評価しているかといえば…そうです。校長ですね。
僕も実際、5号給や6号給も上がったことがあります。
給料表は要チェックですね!
初任給はいくらもらえる?
次に紹介するのは、和歌山県の条例(教育職員の初任給、昇格、昇給等の基準に関する規則)です。
大学卒の教員は1級の17号給スタート、短大卒の教員は2級7号給スタート。
大学院まで出ると2級の29号スタートです。
給料表と照らし合わせると、もらえる初任給はこのくらいの差があります。
最終学歴による給与の差
- 大学院卒・教員:24万1700円
- 大学卒・教員 :21万4000円
- 短大卒・教員 :19万1200円
- 大学卒・講師 :19万1000円
- 短大卒・講師 :17万1000円
- 高校卒・講師 :15万2000円
かなり差がありますね。
初任給での号給がこれだけ違うということは、その後の伸びも違ってきます。
大学院まで行くかどうか迷っている方は、かかる費用と最終的な給与の違いまで計算してみるのもいいかもしれません。
時給にすると…?
初任のころ、時給を計算してみたことがあります。
ドキドキ…
500円でした。時給。
(低い!!!)
初任給は21万円ほど。
当時の僕は、時間外勤務も楽しくて仕方がありませんでした。
やればやっただけ、授業がうまくいったり、子どもたちが喜んだりします。
先輩教員との差を埋めるためにも、長時間労働をしていました。
それが間違っていたかどうか、今なおわかりません。
長時間労働をしたからこそ、今の自分があるようにも思います。
しかし時給を計算してからは、どんなに働いても残業代は一切出ない教員の給与体系に疑問をもつようになりました。
420時間。
これが僕の労働時間でした。
8時間×20日の160時間が正規の労働時間です。
そこから260時間の時間外勤務をしていました。
残業代はゼロ。
これで計算すると、時給が500円になります。
マックのアルバイトの半額程です。
みなさんの今の時給はどれくらいでしょうか?
一度計算してみるのもいいかもしれませんよ。
結論:残業代が無いことと長時間労働を考えなければ高い方
今回の結論です。
・地方公務員の中では高い方
・ただし残業代は支給されない
・しかも長時間労働を余儀なくされる
教員の給料が高いか低いか、よく話題となるところではあります。
実際に働いている身としては、やはり安定感があるのはとてもありがたい。
ローンもバッチリ組めますし、ボーナスも安定しています。
ボーナスと年収についてはこちらで紹介しています。
ただし、残業代が出ないのに長時間労働を余儀なくされるのは納得のいかないところです。
倍率が下がってきている今、このような待遇は改善されていくのでしょうか…?
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、良い教員ライフを!